中津川地区は、山形、新潟、福島の3県の境界にそびえたつ飯豊山(2105m)や大日岳(2128m)を含む飯豊連峰の北嶺の渓谷に営まれた山深い地区である。総面積は195.12㎢と広大で、面積の大部分が飯豊山北面の山林である。渓谷の上流は、ブナやトチなどの原生林が広がっている。
展望台からは、山裾をめぐって蛇行する清流「白川」を中心とした田園と、散在する民家が眺望される。「白川」は、長井盆地へと流れる「最上川」の源流の一つである。
「中津川」は地図にない地名であるが、その昔は「南置賜郡中津川村」という一つの村であった。14の小さな集落があり、藩政時代には俗に「中津川十四ヶ村」と総称されていた。
「村史なかつがわ」より一部抜粋
初詣
元日はそれぞれ、集落の神社にお詣り。飯豊町中津川地区は生産と祈りの文化といわれています。岩倉神社では冬、かんじきで境内の雪を踏み固めて道を作りお詣りします。
さいぞう笑い(ヤハハエロ)
小正月に一年の無病息災、五穀豊穣、子孫繁栄を願い、古いお札や正月飾りなどを燃やします。山から伐ってきたばかりのさいぞう笑い木の先端に付いた稲わら(貧乏神)が燃え尽きると、良い一年になると言われています。
イタヤカエデの樹液(メープルシロップ)
山に自生しているイタヤカエデ。冬の時期、その恵みをいただきます。樹液をスノーモービルで運び、薪火でじっくりと丁寧に煮詰め、時間をかけて貴重な美味しいメープルシロップになります。
豪雪
2月は冬の中津川で最も寒い季節です。山も田畑も道も家も、真っ白な雪に覆われます。県道・町道沿いの雪壁は多い所で2m~3mにもなり、隣の家が見えなくなるほどです。水墨画のような美しい銀世界。動物たちが足あとを残していきます。
中津川雪祭り
2月の最終土曜日に行われる雪祭り。1981年(昭和56年)2月15日に始まる。雪は厄介ものという考えから、雪を楽しもうと「克雪の精神」で始まった祭りは、時代に合わせて内容を変えながらこれまで続いてきました。写真は空に願いを込めて飛ばす、スカイランタン。
中津川雪祭り②
旧中津川地区小中学校での雪像作り、雪壁を利用した炎の回廊、白川湖畔公園から打ち上がる冬の花火。自然が相手なので小雪の年も工夫を凝らしながら、様々な楽しみ方をしてきました。写真は雪をバケツに詰めて雪灯籠にしたものです。
霜の結晶
3月といえども冷え込みはまだまだ厳しく。よく晴れた日の朝は植物やガラスなど、様々な場所で霜の結晶が見られます。きらきらと光に反射する姿はとても美しいです。
動物たちの気配
豊かな自然に囲まれた中津川では、色々な植物だけではなく動物にも出会えます。ツキノワグマもこの頃、冬眠から目覚め始めます。猪やキツネ、タヌキだけではなくカモシカ、うさぎやリスも身近な存在です。
雪崩に注意
気温が上がり、暖かくなってくると雪崩が起きやすくなります。白川ダム道路や菅沼峠でも注意が必要です。さて、この写真の中には何かの動物が隠れています。見つけられますか??
雪解け水
飯豊山より白川へと、雪解け水が流れ込む4月上旬。青色の美しい水は集落へ恵みをもたらします。水はダム湖に辿り着き、5月中旬にかけてより深い緑色になっていきます。
種まき
田んぼには1m近く雪が残っています。早く消えるようにと、重機で雪を掘り起こします。農家では、5月の田植えに向けて土づくりや種まきを始めます。冬の長い中津川では田んぼや畑が出来る時間はとても貴重な時間です。
春の訪れ
木々が芽吹き、中津川はまるで桃源郷のような色鮮やかな世界に包まれます。鳥や様々な動物たちも活発になり始め、人間たちと同じく春の訪れを喜んでいるようです。銀世界から色のある世界へ。
かじか捕り
4月下旬から5月の連休の頃、かじかは産卵の為に沢の浅瀬に上ります。昔の中津川の子どもたちは、かじか捕りを楽しんでいました。銛で魚を突き、火で炙って食べたそう。美しい水場だからこその情景。次の世代にも遺したいものです。
山菜 山の恵み
里山の生活では春、山の恵みでいっぱい。わらび、こごみ、うど、ぜんまい、うるい等々。わらび園で収穫体験が出来るほか、中津川農家民宿、白川荘で地元の素材を使った美味しい山菜料理が味わえます。
緑の水没林
長い冬も終わり、飯豊山の雪解け水が白川ダムを満たし、木々が水没します。雪解け水は青々しく、朝早く水没林を散策すると、霧に包まれた幻想的な景色が見られます。
梅雨と蛙
中津川には田んぼがいっぱい。水張り、田植えが終わり梅雨時期になると夕方からは蛙の大合唱です。窓ガラスにくっついていたり、間違えて家の中に入ってきてしまうことも!
夏鳥
豊かな自然の中だと、動物や鳥の声が生活の一部にあります。アカショウビン、カッコウ、オオルリ、キビタキ、ホトトギス、ヨタカ、ノジコの大合唱。ミサゴ、ハチクマ、サシバ等の姿も見られます。
ヒメサユリ
姫小百合は別名、乙女百合とも呼ばれます。その名の通り可憐な見た目をしています。花言葉も「純潔」「飾らぬ美」「淡い恋」と可愛らしいものばかり。絶滅危惧種に指定されているので、見つけられた際には目でどうぞ愛でてあげてください。
蛍 光る
田んぼや水辺の草むらに淡い光。7月上旬、日没から少し経つと蛍は光りはじめ、それから1時間半ほどかけてより強く光るそうです。中津川で見られるのは源氏蛍。源氏蛍は平家蛍よりも大きく、明るいそうです。
飯豊連峰 山開き
毎年多くの人が訪れる飯豊山。ブナ美林や高山植物など美しい自然や豊かな植生で登山者を魅了してくれます。例年7月の第一週土曜日に、飯豊連峰に入山されるすべての方の安全を祈願する山開き祈願祭が行われ、翌日曜日には山開き登山が行われます。
渓流釣り
飯豊連峰種蒔山から始まり、長井市で最上川と合流する置賜白川。4月~9月までが渓流釣りシーズンです。6月~7月のイワナは餌が豊富なことと、秋の産卵に向けて身体も大きくなるのでとても美味しいです。
中津川の夏
中津川の夏は短いですが、しっかりと暑いです。昼間はジリジリと太陽が照り付けます。ただ、夕方~夜は肌寒いくらい。夜空には満点の星が瞬き、流れ星も見られます。夜行性のカブトムシやクワガタにも沢山出逢えます。
菅 干し
菅(すげ)刈りは暑い8月に生育状況を確認して行います。刈っては干し、干しては刈ります。笠骨は男性が組み立て、乾燥した菅を用いて冬期に女性が笠を縫っていました。
キャンプ・キャンプ・キャンプ!
GW前ごろから、白川ダム湖岸公園はキャンプ客で賑わいます。BBQをしたり、焚き火をしたり、カヌーをしたり。それぞれが思い思いの時間を過ごしています。敷地内に白川荘の温泉があるので家族連れにもうれしいです。
はせ掛け
9月下旬~10月上旬にかけて、収穫した稲をはせ木に掛けて自然乾燥させます。このはせ掛けの光景は昔はよく見られました。それから脱穀、乾燥、籾摺りして保存・流通されます。中津川のお米はとっても美味しいと評判です。
宇津沢かぼちゃ
宇津沢集落で栽培されているおきたま伝統野菜。9月下旬ごろから収穫、追熟させる。少量生産のために、時期になると白川荘で販売はいつか~?と聞かれることが増えます。ほくほく、見た目にも美味しいかぼちゃです。
栂峰(大栂峰)
栂峰は福島県喜多方市と米沢市、飯豊町の境界にあります。毎年白露の日(例年9月8日頃)に山の神という例大祭が行われます。登山口に天照大御神、そして道沿いに沢山の神々が祀られています。県内でも遅くまで女人禁制がしかれた信仰の山です。
パークゴルフ
白川湖岸公園ではシーズン中パークゴルフが楽しめます。白川荘があるので、ご飯やお風呂、休憩もあんしん。豊かな自然の中、思いっきり楽しめます。折角なので紅葉狩りや散策も♪
きのこ
早いものだと、8月下旬頃からきのこが採れはじめます。トビタケ、シシタケ、なめこ、舞茸、しめじ…山には沢山の種類のきのこがあります。ツキヨダケとムキタケ等、間違えると大変なきのこもある為自己判断での採取はやめましょう。
紅葉シーズン
飯豊山の紅葉のシーズンは9月下旬から10月上旬頃。飯豊山の頭が少し白くなる頃に、中津川の里山も色とりどりに紅葉していきます。山登りはちょっと…という方もドライブだけでも充分に楽しめます。
旅鳥
冬に来る旅鳥もいます。オナガガモ、キンクロハジロ、コガモ、マガモ、カワアイサ、カシラダカ、ウソ等です。ヤマセミ、ヤマガラ、アカゲラ、オシドリ、シジュウカラ、カルガモ、オオタカ、クマタカ等には一年中会えます。
サイクリング
車ともまた違った良さのサイクリング。風を肌で感じ、自然の音を聞き、太陽を身体いっぱい浴びて、リフレッシュ◎ご自分の自転車でも、白川荘・公民館のレンタサイクルでも♪ロード・サイクリング・タンデムあります。(ヘルメット付)
冬支度
中津川の冬は長いです。何やかんやと忙しくしているうち、あっという間に初雪が降ります。庭木や家の窓に雪囲いをし、除雪機など機械のメンテナンスをしてしっかりと冬に備えます。食料も塩蔵した山の恵みを冬の間、使う分ずつ塩抜きし、大切に大切に使います。
新蕎麦祭り
飯豊町で収穫した蕎麦を使った新蕎麦祭り。飯豊山麓系のお水はとてもまろやかで、蕎麦もとても美味しいです。地元の蕎麦打ち名人達が腕を振るいます。美味しい揚げたての天麩羅、美味しいお漬物と共に茹で立てのお蕎麦を思う存分召し上がれ!
味噌作り
中津川地区婦人会では12月に味噌をみんなでわいわいと仕込みます。一年分の味噌を作るので大豆も麹もお塩も沢山!公民館は麹の香りでいっぱいになります
。ゆっくり寝かせて美味しい美味しいお味噌になりますように。
冬の手仕事
厳しい冬。中津川の方たちは冬の間も家の中で手仕事をしてきました。花笠で使う菅笠、菅細工、つる細工。中津川のおじいちゃん、おばあちゃんたちは何でも知っているし、何でも自分たちの手でしてきたのです。